■Keywords:理学療法士 リハビリ 膝 手術後 ポイント
この記事の著者
理学療法士10年目
認定理学療法士【スポーツ理学療法・臨床教育】
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
普段は大学病院で勤務しながらスポーツ現場でもトレーナーとして働いてます。 高校生のサポートや、大会での救護活動を中心に、スポーツ現場に出ています。 臨床ではACL損傷後のリハビリテーションを中心におこなっております。
膝をケガするってどんな感じなんだろう?
全体像が分からないし、何やって良いか分からないな。
コツか何かないのかな?
こんにちは、まつたくです。
上記の悩みって抱えたことないですか?
実習でもそうですが、膝の人工関節置換術後の患者さんや前十字靱帯損傷後の患者さんって、よく出会いませんか?
私は入職してから1年ほど整形外科疾患に触れることがほとんどありませんでした。
ある時、膝術後の患者さんを目の前にして、
「うわっ、何したらいいんだろう?」
「まずは可動域の改善だよな?」
「入院期間短いし、どうしよう」
って思いました。
でも学生にしても、新人にしても初めて見る患者さんって想像しづらいし、まず何しようってなりますよね。
なので今回はなんとなく膝術後の患者さんの全体像が分かるように、なおかつそんなときどうすれば良いかを書いていこうと思います。
- 膝術後の患者さんの全体像がわかる
- 対面したときに何をして良いか分かる
- 10年で感じた臨床のコツ
✅ 膝術後の患者さんってどんな状態?
【結論】体を動かすこと自体が不自由な状態
みなさん想像できるでしょうか?
これは病院によって対面する時期が異なりますが、まず私たちが出会う膝術後術後の患者さんは、ベッドの上か、車椅子です。
そして痛いです(いや当たり前だよ)。
加えて言うと膝だけを動かせないわけではありません。
身体全体の動きが制限されます。
膝をケガしているだけなのに全身が動かないの??
身体のどこかに痛みがあり、さらに動かしたくない状況に陥ると、全身で膝をかばいます。
なので身体を起こすだけでもいつもと違う動きをしてしまいます。
そんなときにどうやって動けば良いのか、アドバイスするのが得意なのが我々理学療法士になります。
膝術後は固定される手術もありますし、プロトコルが病院によって違うのでそこは確認してみてください。
そして、何より患者さんは不安を持っておられます。
「これから膝を曲げられる?」
「この状態で歩けるのか?」
「痛くてリハビリどころではない」
このような言葉をよく聞きます。
そんな不安を持ってる中、じゃあ今日から曲げますねって言われるとどう思うでしょうか?
きっと体を固めてしまいます。
手術は膝ですがその影響は全身に出ます。
膝をなるべく痛みにさらさないために全身に力を入れ、なんとか病棟生活を過ごそうとされてます。
そんな患者さんを目の前にして理学療法士として何ができるかを次で考えて行きます。
✅ まずすべきことは?
【結論】不安や恐怖心の解消
これを最初のsessionで解消するのが我々の役目です。
手術後の治療は
- 服薬による痛みのコントロール
- 物理療法などによる痛みのコントロール
- 適切な運動による痛みのコントロール
がメインになってきます。
痛みの事ばっかりだけどそれでいいの?
患者さんの訴えで一番の多いのは痛みです。
筋力が発揮できないのも、膝が曲がらないのも『痛み』が原因である事がほとんどです。
まずはこの痛みに対して正しい知識と対応をする事が必要です。
また加えて不安を解消しなければいけません。
「膝はしっかり曲がりますよ」
「少しずつ体重かけて歩きますよ」
「逆に動くことで痛みは楽になっていきますよ」
このような声かけをして、あとは正しい知識と技術を提供します。
何が1番怖いかって、新型コロナウイルスと同じで、【知らない】というのが1番怖いし、不安になるんですよね。
なので1番最初に出会うときというのは、患者さんは未知との遭遇をしてる状態なので混乱を解いていきましょう。
ただこの不安や恐怖心は声かけだけでは解消しません。
- 膝がしっかり曲がることが確認できる
- 少しでも体重をかけて歩くことができる
- 思ってたより痛みなくリハビリができた
このような結果も重要です。
なので、まずやることとしては、
適切な方法で痛みを伴わず、しっかり曲げたり歩いたりした上で声かけもしつつ不安を解消する
これが大切なことだと思ってます。
✅ うまく進めるためのコツは?
【結論】手術で何が行われたかをしっかり説明する
私が10年間、膝手術後の患者さんと向き合ってきて思ったのは、単純に曲げたり歩いたりの知識だけでは不十分ということです。
整形外科術後の患者さんだけではないと思いますが、手術内容を把握できてません。
結構多いのが
「先生(医師)にはわからないことをなんとなく聞きづらい」
ということです。
自分の体にメスを入れられているのに、具体的に何をされているのかわからない。
それって不思議なことじゃないですか?
と専門家である私は思ってしまいますが、おそらくこれは医療者の意見かもしれません。
もし家族や大事な人が手術になった時ってどんなことが起きるのか、どんなことされるのかすごく気になって色々調べたり、お医者さんにきいたりしませんか?
「お医者さんが大丈夫っていってるし、あとは任せよう」
「親が聞いているし、大丈夫でしょ」
特に高校生や学生は保護者の方と手術説明を聞くので
「どんなことするか聞いてた?」
と聞くと
「全然覚えてません」
と帰ってくることがほとんどです。
実際手術後目が覚めると急激な痛みや動かせない膝に、こんなことになるのかという恐怖心と不安が押し寄せてくると思います。
そんな気持ちの中、
「今日からリハビリですよ」
いやちょっとまってくれよと思いますよね。
なので当たり前の事ですが、私が大事にしていることはオリエンテーションや問診をしっかり行うと言うことです。
特にしっかりと説明するのが
今回どんな手術をしたのかということです。
加えて、その痛い部位と手術の関連をしっかり説明することです。
そうすると、
「そんな事されてるなら痛くて当然ですね」
という気持ちに向けることが出来ます。
手術後は
「何でこんな痛いんだろう?」
「何でこんな目に遭わないといけないんだ!!」
と不安や恐怖心を持つことで、痛みは強く感じやすくなります。
ただ手術方法を知っていると、
「そこの痛みはきっとこんなことをしているからですよ」
「そこの痛みはここを切って・・・」
きちんと説明して不安や恐怖心を取り除いてあげる事が大事です。
痛みに対して、理由がある事を伝えることが、うまく進めるためのコツです。
要は痛みに対してどう理解して、運動を進めていくかと言うことになります。
急性期において痛みの理解は不可欠であり、また整形外科術後のリハを担当するなら術式の理解は必須だと思います。
ここは整形外科医と仲良くなり、いろんな事を聞いてみましょう。
✅️まとめ
結局可動域制限や筋力低下、歩行障害が生じる一番の原因は「痛み」です。
痛みをどのように制御し、またどう向き合っていくかを話していくことが大事です。
痛みは人によって様々であり、変化しやすいものです。
最近聞いている質問は、今までで一番痛い経験は何ですか?です。
「今回の手術です!!」
と言われた場合、しっかりとした評価をとったり、話する時間を多く取ります。
またあらゆる手段を用いて痛みの緩和を目指します。
それが物理療法でも、医師と相談して上での服薬でも良いと思います。
痛みの評価などに関しては過去の記事もあるのでご参照下さい。
また痛みに関してはこの書籍がおすすめです。
▼痛みに関するおすすめ書籍▼
▼個人的にはこっちが大好き▼
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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