Keyword:ACL 前十字靱帯 筋力 手術前
こんにちは!まつたく(@matsumo37)です。
この記事の著者
✅️理学療法士10年目
✅️認定理学療法士【スポーツ理学療法・臨床教育】
✅️日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
✅️大学病院を勤務しながらスポーツ現場でもトレーナーとして働いてます。
✅️臨床ではACL損傷前後のリハビリテーションを中心におこなっております。
先日こんなツイートをしました。
【前十字靱帯を損傷してしまったらシリーズ】
痛みが取れ可動性も確保できるようになってきたら筋力を取り戻します。筋トレも様々ありますが、安全に実施していきましょう。特に最後の動作の練習は体重もかかった状態でやるので鏡を見ながらフォームをチェックしてします。#前十字靱帯#ACL#図解 pic.twitter.com/wL0TAcokoD— まつたく@理学療法士・アスレティックトレーナー (@matsumo37) January 17, 2021
最近臨床をしていて、
・手術までの期間、何をやって良いか分からず困りました。
・筋トレってして良かったんですか?
こういった声を聞きました。
整形外科のクリニックには行ったものの、何も助言されず、松葉杖の長ささえも調整してくれなかったそうです。
そんな事あってたまるか!
と心の声が出そうになりましたが、
あまりこのケガを見たことがないクリニックだったんだね
とぐっとこらえました(こらえる必要なかったか??)。
今回はACL(前十字靱帯)を損傷してしまった方へ、手術までに筋力を取り戻しましょう!というお話です。
先に理由を話します。
なぜ筋トレをした方が良いのかというと、スポーツに復帰する際の一つの基準となるからです。
ケガが治って時期が来たからもう一度スポーツに戻れる!
と言うわけでは無く、厳しいスポーツ復帰基準があるんです。
その復帰基準の一つに『筋力』があって、これはなるべく早くに戻しておくことがよいと、医師も推奨しています。
術前の膝機能が有意に改善することから、術前リハビリテーションを行うことを提案する。
引用:日本整形外科学会ほか、前十字靱帯(ACL)損傷ガイドライン2019
なのでしっかりとましょう!
手術前も適切にリハビリをして、筋力を戻し、手術に備えましょう!!
✅️膝が腫れると筋力が落ちる
基本的にケガをしたときに腫れた事があると思います。
もしくは内出血をしたことがあるかと思います。
そんなときって筋力が落ちるんです。
内出血レベルだと筋肉全体が小さく(萎縮)なることはあまりないですが、関節が腫れるレベルになると話が変わります。
前十字靱帯の手術は関節鏡という道具を用いて傷口自体は小さくて済みますが、関節内にたどり着くまでに様々な組織を傷つけます。
関節、特に膝に関しては様々な動物実験などでも筋肉が小さくなることが分かっています。
人の場合、特に内側広筋という、太ももの前の少し内側にある筋肉が落ちるとされています。
筋肉が小さくなるだけでは無く、筋力(力が発揮できなくなる)も落ちるのでこの状態でスポーツをすることは難しいですよね。
なのでケガをしたらまずはこの腫れをなんとかしたいところです。
腫れに関しては、RICE処置の「C」と「E」が効果的です。
腫れについての過去記事はこちら👇
この腫れが起きることでAMIという現象が起きます。
Arthrogenic Muscle Inhibition(AMI)といいます。
簡単に言うと、筋肉が抑制されてしまう現象が起きます。
腫れてしまうと、危険を察知して筋肉は動かないようにしようと勝手に働きかけます。
危険信号が出ているので止まれって事ですね。
でもこれは人における防衛反応であって正常な反応なんです。
どうやれば筋肉は反応してくれるかというと、腫れを引かせることが1番です。
適度な圧迫と挙上を行い、なおかつ専門家がいるなら少し動かしてもらって、循環は促しましょう。
✅️腫れが引いたら筋力トレーニング
腫れが引いたらとかきましたが、引かせるためにも少しずつ関節は動かした方が良いです。
特に腫れている場合はなるべく力を入れずに膝を動かすことをした方が良いです。
ヒールスライドという方法があります。
→ヒールスライドはこんな感じでやっていく
(この動画の2分30秒からヒールスライドが始まります)
この手法で大事なのは「膝に力を入れない」ことです。
腫れがどんどん引いてきたらまずは等尺性収縮がよいです。
これは関節の動きが最小限なので関節や筋肉への負荷が最小限になります。
まずはこの等尺性収縮、スタンダードなのはタオル潰しなどですね。
先ほどの動画の3分34秒からパテラセッティング(等尺性収縮)の方法が始まります。
伸ばすと痛みが出る場合はタオルやクッションを入れて高さをつけることで痛みをコントロールします。
痛みが無くなり腫れも引いてきたら、徐々に負荷量を上げていき、筋力をもどしていきます。
求心性収縮トレーニングの代表は単純に椅子に腰掛けてのチューブトレーニングなんかが有名です。
腰掛けた状態から膝を伸ばすという単純な作業ですね。
これは高齢者向けに作ってますが、チューブなどを使用することで負荷量を変えれます。
→誰でも自宅で簡単にできる!健康体操
(この動画の6分36秒から始まるトレーニング)
これも問題なく出来れば最後は遠心性収縮です。
これはケガをしていなくても実施するとかなりキツいので注意しましょう。
遠心性収縮になればリスクを伴うので専門家の意見を聞きながら実施しましょう。
問題ない!と言う方はぜひやってみて下さい。
→スポーツ選手にやってほしいトレーニング6選【Routine Exercise】
(この動画の3分5秒から始まるトレーニング)
後ろに倒れる角度を最初はゆるくしていき、出来る人は徐々に後ろに倒す角度を強くしていきましょう。
腰を反らないようにすることがポイントです💡
大腿四頭筋という太ももの前の筋肉だけでは無く、他のふとももの後ろや股関節周りの筋肉も大切なのでしっかりトレーニングしましょう!
→この動画の4分当たりから股関節周りのトレーニングもあります!
✅️動作のトレーニングも加えていく!
筋力トレーニングと同時並行的に動作のトレーニングもしていきましょう。
ただ「動き」がでるので関節が腫れている方はまだ様子を見ましょう。
動作のトレーニングで大事なのはパワーポジションと言われる姿勢です。
このパワーポジションはいわゆる「スクワット」ですので、スクワット動作をします。
スクワットの時の姿勢を前や横からしっかり確認しましょう。
なので最初は鏡などの前で実施するのが良いと思います。
特に前から見てあげて、膝が内側に入らないようにまずは注意しましょう。
単に内側に入らないだけではなく、つま先との関係性をしっかり意識しましょう。
つま先と膝の頂点が一緒の方向へ向くことがよいです。
またおしりに少し突っ張った感じ(伸張感)があるかなども確認します。
そのためには背骨(脊柱)の姿勢も重要です。
背骨は3つのカーブを描くことを意識します(壁に立って首と腰の後ろに手が入ることを意識して肩甲骨の間は壁につけること!!)
→スポーツ選手にやってほしいトレーニング6選【Routine Exercise】
(この動画の最初のトレーニングがスクワット、いわゆるパワーポジションのトレーニング)
大事なのはどこの筋肉に効いているかということです。
膝への負担を減らすためには膝や股関節だけでは無く、背骨も重要です。
わたしがACL損傷をした方を見るときは背骨の動きもしっかり確認します。
背骨のトレーニングもまた紹介しますね。
✅️まとめ
今回は筋トレに関して紹介しました。
大事なのは
・腫れが筋力を落としてしまう。
・腫れていても少しずつ動かす。
・入院前に筋力を戻しておく。
・意外にもしっかり動いても大丈夫。
と言うことです。
手術が決定して、何もしなくてもたしかに問題はありません。
ただ手術後にかなり苦労をします。
筋トレは結構キツいですよ👍
ただ楽しく一緒にやっていきましょうね♪
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました!!
- ACL損傷をゼロに!!
- 怪我に泣くスポーツ選手をゼロに!!
- 子ども、アスリートの未来をカタチに!!
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