ACL損傷を予防するために③〜損傷のメカニズム編〜

ACL(前十字靱帯)関連

今回はどのようにしてACL損傷が起きるのかを紐解いていきます。


ACL損傷の型

ACL損傷には受傷形態があり、大きく3つに分かれています。

  • 接触型損傷
  • 非接触型損傷
  • 介達型損傷

この中で大きな損傷(合併症を含みやすく重症化しやすい)になるのは臨床的には接触型損傷です。

これは膝に直接外力が加わることで、相当強い衝撃が加わることで内側側副靱帯(MCL)や半月板などの損傷も起こしやすいことが関係しています。

ただ現場で治療している感覚として、時間の経過と共に、予後は良好な印象です。

あくまで事故であり、接触が加わらなければ損傷するリスクも低いと言うことです。ただ接触しないためのパフォーマンスアップなどは必要になります。

介達型損傷に関してはスキーが代表的な損傷形態です。

スキーの板が雪にとられてしまう、もしくはその後の着地で損傷します。

これはスキルとの関係や前回記載した外的因子が大きいと感じています。

一番やっかいなのが非接触型損傷です。

なぜか。

ほとんどが自爆で生じます。

もしくは接触後の着地やカッティング動作などもこれに含まれると思います。

これは内的因子が関わっていることが多く、単純な治療経過では再損傷のリスクも高まってしまうと考えられます。

事実再損傷した方は初回も再損傷も非接触型損傷が多いです。

これは以前私が学会発表したデータですが、再受傷した時も初回と同様の受傷機転であり、非接触型損傷です。

ちなみにこのデータは当院での5年間のデータであり、242名から調査しております。

受傷肢位としては主にはこの4つです。

結局はどの方向へも過剰に運動すると損傷する可能性があると言うことです。

なので運動自体を自らで制御する能力が必要といえます。


ACLにかかる張力

これは重心の位置と脛骨の移動量を計測しています。

簡潔に言うと後方重心になればなるほど脛骨の前方移動量が大きくなることが分かっています。

ということは後方重心による着地動作や、カッティング動作はACL損傷リスクを高めてしまいます。

ACL Strainが張力になります。このデータでは外反時に最大張力がかかってしまいます。

これが俗に言う、『膝が内に入らないように』につながってきます。

これは体幹の角度と、重心位置からの下肢の角度を算出したものですが、要は体幹の屈曲角度が少ない状態で足を投げ出してしまうと損傷しやすくなります。


まとめ

今回はメカニズムに関して、どんなものがあるか、またどのようにして起きるかを話しました。

結局臨床をやってて思うのは、膝をケガする選手は、膝を挟む関節【股関節と足関節】が硬い、もしくは弱い、もしくは可動性がせまいということ。

加えて体幹機能、ここでいう体幹は可動性を備えた、臨機応変に対応できる体幹の事ですが、これも弱いことが多いです。

この辺も後半で記事にしていきますのでお楽しみに。

本日はここまでです。

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