ACL損傷を予防するために④〜損傷のメカニズムpart2〜

ACL(前十字靱帯)関連

前回に引き続き、損傷メカニズムに関して話していきます。

ACL損傷に関しては未だに分からない事が多いですが、私が一番損傷メカニズムで参考にする論文を載せていきます。


損傷のタイミング

まずは損傷のタイミングに関して見ていきましょう。

これはビデオ解析による受傷機転の解析の論文です。ハンドボールとバスケットボールプレイヤーの受傷機転を解析しています。

縦の実線は足が床面に接地した瞬間です。10症例を見比べても同じような膝のアライメントになっていることが分かります。

床反力のピークが40msで生じていることから最大の負荷はここに来ることが予想されます。

そこまでの膝の動きを見てみると急激に外反・内旋し、軽度屈曲していることが分かります。

これはサッカー選手のデータです。

たしかイングランド代表のマイケルオーウェン選手の受傷シーンを解析したものです。

先ほどのデータも見てみれば分かりますが、おそらく接地後40ms以内で損傷していることが予想されます。

40msは0.04秒です。

では接地してから膝が内にはいることを戻すことが可能でしょうか。

答えはNoです。

さらに先ほどの10症例の股関節を見てみると、膝が動いていることに対して、股関節があまり動いていないことが分かります。

Joint by joint conceptの中で股関節は運動性が高い関節とされています。

しかし受傷シーンを紐解いてみると、股関節が動かず、本来安定していないといけないはずの膝関節が動いてしまっています。

ここに受傷を防ぐヒントが隠されているように思います。

これらをまとめてメカニズムの仮説としているものがこの論文です。

古賀先生の論文は読みやすくて、ものすごく腑に落ちます。


まとめ

今回は古賀先生の論文を元に話をしました。

損傷メカニズムを知るということは、ケガを防ぐ上では必須です。

なぜ損傷するのか、そう損傷するのであればこうすれば防げるのでは?とこちらも仮説を立てて、トレーニングのメニューを考案していく必要があります。

往々にしてACL術後の患者を診ていると、前回も述べましたが、股関節、脊柱、足関節の可動性が低いことが多いです。

また膝自体を診ていくと、下腿が外旋していることが多く、ACLの張力が加わる内旋方向への許容範囲が増加していることが分かります。

膝の外側が硬くなっており、股関節の可動性が制限されることもしばしば見受けられます。

次回はどう評価するのかという点を話していきます。

今回も見ていただきありがとうございました。

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