いよいよ治療編まで来ました。
治療もDrが選択する治療もあれば、我々理学療法士が選択する治療もあります。
今回は手術に関して話していきます。
治療の考え方

まずはACLを防ぐための予防が大切です。
前にも述べましたが受傷すれば約9ヶ月間は競技に復帰できません。
一番はケガをしないことです。
もしケガした場合には2択です。
手術するか、しないか。
競技復帰のためには手術を選択する事が多いです。
ただ当院でもありますが、高校最後の大会があり、その後に手術をするなど特殊な例もあります。
保存療法での競技復帰成績はリハビリにかかっていると言っても過言ではありません。
手術療法

当院の手術方法です。
この骨孔の開け方は少し古いようです。
最近の手術では脛骨側の骨孔を作成して、そこから大腿骨の骨孔を作成するのでは無く、大腿骨側も中からでは無く外からしっかりと骨孔をあける方がしっかりと解剖学的な位置に骨孔があけられるそうです。
整形外科の手術後の理学療法を行う際に、術式を知っておくことはとても重要になります。
関節鏡で手術するとはいえ、侵襲は侵襲です。傷を負います。
わずか1cmの傷でも、中では結構ぐりぐりされたりして痛いです。
さらに術野を広げるために脂肪体など少し削ります。
脂肪体は神経の塊とも言われるので膝前面の痛みがST(半腱様筋)から腱を採種しても出てくることがあるというのは必然だと思います。

さらには腱の採取方法など細かいことまで聞いておくとさらに痛みに対しても理解が深まります。
再建する際に縫工筋をL字に切開して半腱様筋まで達します。
よくあぐらをかこうとするような動作で痛みがでると術後に言われますが、これは術式の影響がほとんどであると考えます。
こうなった場合には手術の説明をしっかりして、自然に治る痛みと伝えるだけで安心感を与えられ、慢性痛への移行も避けられると考えます。
再建靱帯の再生と理学療法

手術をすればすぐに靱帯が出来るというわけではありません。
再生過程の中で弱くなる時期があり、その後徐々に強度を増していきます。
術後3ヶ月で運動強度が上がるのには理由があり、この再建靱帯の強度が上がるためと言われています。
それまでは基礎的な患部・患部外トレーニングやアライメント、知覚再教育などを優先に治療すべきであると考えます。

これは当院でのプロトコルで、基本的に上記で示した靱帯の再生の過程に合わせてプログラムを組んであります。
荷重に関してもDrの考え方次第ですが、当院では部分荷重から開始し、退院時(術後2週間)でFull荷重して退院となります。
まとめ
これらの手術を理解した上で、術後の理学療法を進めていきます。
先ほども述べましたが整形外科の手術後の理学療法には手術方法の理解が重要になります。
痛みが出ている理由を評価する際、手術による侵襲で痛みが出ているものに対していつまでも固執して痛みを出さないように丁寧に丁寧にしすぎて動かさないというのはナンセンスです。
ここは痛みを許容できる範囲で動かしても良いのか、それを患者も納得して継続できるかなど駆け引きも重要です。
基本的に痛みを出しながら運動療法を行う際に重要なのは信頼関係です。
信頼関係の築き方に関してはまた別の機会に進めていきますね。
次回は私の考えに基づく、手術後の理学療法アプローチを話していきます。
術後の状態に合わせてROMexや筋トレを選択し、荷重をかける際の工夫や今後の理学療法の進みやすさの見分け方など、臨床で気づいた点についてお話ししていきます。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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