臨床スポーツ医学:Vol36.No5 大見頼一
はじめに
この文献ではタイトル通り、予防トレーニングをすると着地動作がどう変化するのかという文献です。
最初に、どう変化すれば効果があったのかという前提から。

この論文では古賀先生の論文を参考にしています。
メカニズムとして膝外反と脛骨内旋が生じるという報告から、外反モーメント、外反角度が減少することは効果があったとしています。
またACL損傷者は床反力が非損傷者よりも大きかったとされているため、床反力が抑えられれば効果があったともしています。
これについて諸家からの報告を先ず述べています。
過去の報告
- Lim:高校女子バスケ、傷害予防プログラムを8週間実施させリバウンドジャンプを動作解析。結果、膝屈曲角度、膝関節間距離が大きくなった。
- Chappell:大学女子選手、神経筋プログラムを6週間実施し、ジャンプ動作を解析。結果、外反モーメント減少と膝屈曲角度が増加した。
- Irmischer:Knee ligament injury preventionプログラムを実施させ、着地動作を実施。結果、最大床反力が有意に低下。
著者の報告
著者は股関節に着目してアプローチを行っている。

古賀先生の報告で股関節内旋がロックされて動かない受傷者が多かったことからも、股関節の内旋はリスクファクターになっている可能性は高い。
それを配慮し、独自のプログラムを作成し、8年間介入研究を行っています。
8年間。素晴らしい数字ですし、本当に効果があるものであると信じております。
これらのプログラムを実施すると、最大床反力は減少し、股関節・膝関節の屈曲角度が上昇ししたと報告されています。
先行研究では効果のあった外反モーメントに関しては変化は無かったようです。
ただそれを踏まえて改変版を作成してプログラムを実施しています。
この改変版のプログラムを実施した結果は外反角度は有意に減少したと報告されています。
ただこのプログラムは介入後8ヶ月で介入前に戻るとされているため継続が重要であるとまとめてあります。
まとめと感想
継続して報告を出されているとこ、本当に見習わないと行けないと感じました。
データを見てみると有意に外反角度が低下したとありますが、平均で5°程度の差です。
またデータの母集団が少ないというのもあります。
どこまで信用のあるデータかは分かりづらいですが、理論的には予防するためには重要である事に変わりないので実施した方が良いと思います。
どっちにしても日本鋼管病院さんは素晴らしいデータをたくさん出しているので、ACL損傷を診療する上では一度は目を通しておいた方が良いと思います。
今回も読んでいただきありがとうございます。
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