こんばんは!
まつたくです。
今回は下記について書いていこうと思います。

- 整形外科術後に問題になることは?
- 整形外科術後のリハビリのポイントは?
と悩んでいる方の悩みを解決出来る記事です。
整形外科術後は何が起こるの?
私が勤務している大学病院では整形外科術後患者の
リハビリを担当することが多いです。
整形外科術後のリハビリで困ることといえば、そう

痛み
です。
手術という侵襲が加わり、ほとんどの患者が経験する感覚です。
手術後の急性期ではこの痛みに対してうまく対処していく必要があります。
手術後の痛みに対応していく上で重要になるのが、

- 術式の理解
- 急性痛の痛みの管理
- リフレーミング
💡Drとの連携は重要!!術式を教えてもらおう👍
術式の理解
これはとても重要です。
手術後痛いのは当然です。
傷をつくっているのですから。
術創部(傷口)が痛いのは理解しやすいかと思います。
ただ往々にして術創部以外の部分が痛いことがあります。
その中で知っておかないと行けないのが術式です。
例えば前十字靱帯損傷後の手術を例に挙げます。
よくあぐらをかくような動作をすると痛いといわれます。
なぜでしょう?
当院ではですが、半腱様筋の件を採取する際に、縫工筋をL字にきります。
そうなれば縫工筋の作用に近いあぐらをかく動作は痛みがでても
おかしくないと言えます。
このように手術内容を知っておくことは、術後の痛みの理解にもつがなります。
またこの点の良いところは、相手を不安にさせないという点です。
これは手術の影響でねと一言いって治る痛みであることを伝えるだけ
でも、不安による痛みの増強や、不使用などは避けられると考えます。
急性痛の痛みの管理
急性痛に対しては理学療法で対応できるものとできないものが
はっきりしていると考えています。

特に痛みの感覚的側面に関しては運動療法では太刀打ちできない
事の方が多いと考えています。

急性痛に立ち向かうためには戦略を知っておいた方が良いです。
我々が注意しないと行けないのは最小限の安静は必要になるということです。
不動にするのは良くない!!と思う方も多いと思いますが、
治癒促進するためには必要な戦略です。

これは「痛み学」という書籍から引用しています。
ここにもあるように術前の心配事は「痛み」に関してです。
なので相手の性格などを把握した上で、手術は痛いと思うと
伝えるのか、麻酔もかかっているので痛くないですよと伝えるのか。
これだけでも術後の痛みに影響があると考えています。
ただ術前にあまり関わる事ができない現状もあるのでそこは
難しいところではありますが。。。

まずは組織の治癒過程を促進することに全力を注ぐこと。
その間の痛みに対して、服薬や物理療法などを適切に使用して
痛みを緩和し、不快な情動と結びつけないための戦略が必要になります。
リフレーミング
リフレーミングとは
『出来事の枠組みを変えることで、出来事に別の意味をもたせること』
のことです。
痛みが出たことを同枠組みを変えるか。
これは重要です。
これは人工膝関節術後の患者を例にあげます。
術後、歩行開始になったときに、
「壊れないか不安、体重をかけると痛みが出そう」
と訴える人は多いです。
こんなときこそリフレーミングです。

「人工関節は接着剤でくっついています。
普段接着剤をつけてものをくっつけようとしたとき、
くっつけた後ぎゅーっと力強く押したりしませんか?
これが膝でいう体重をかけることです。
体重をかけることで人工関節も早く骨とくっついて、
強くなりますよ」
こう聞くと、そっか体重かけても大丈夫かなとなりませんか?
リフレーミングで大事なのは相手の『腑に落ちること』です。
これがとても重要です。
納得が出来るような理由付け、意味づけができないと意味ありません。
相手がどのような経験をしていて、どう伝えるとうまく伝わるかを
考える必要がありますね。

整形外科術後のリハビリのポイントは?
結局の所、何をポイントにすれば良いのかというところですよね。
整形外科術後患者を担当する際に注意しておく点は上記でも述べました。
次はポイントについて話していきます。
ポイントは以下に挙げられる3つです。

- なぜ痛みが生じているのか説明すること
- 術後の身体は以前の身体とは違うという事
- 術式に合わせた安静度を理解しておくこと
💡これらは提供する運動療法に直結します👍
なぜ痛みが生じているのかの説明
これは急性痛の管理の所でも記載しましたが、
人はよくわからないことやものに対しては不安を抱きます。
その不安が痛みに関してであれば、人は行動を制限し、運動を抑止します。
これは「fear-avoidance model」に代表されるような痛みの負のループです。
痛みが生じ、悲観的な体験を繰り返すと、人は『5D』に陥ります。

この図の左側のループに入れないためにも
『この痛みはいずれ取れる痛みなんだよ』と言うことを
説明することがとても大切になります。
多少怪しい痛みでもある程度の期間をもっていずれ取れる事を説明します。
ただ当てずっぽうにいって、
痛みが長引いたときには信頼を失うので注意して下さい。
しっかりとした評価が重要になってくると思います。
痛みの評価は以前HOPSの話をしていますので参考にして下さい。
細かい評価の元、この痛みは大丈夫だよと伝えていく必要があります。
逆にこの痛みは手術によるものではなく、なんか長引きそうとなれば、
医師と相談しますねなどのアドバイスが必要です。
術後の身体は以前の身体とは違うという事
これはどういうことかというと、
特にTKAやTHAに代表されるアライメント異常を、
手術によって矯正されます。
そうなるとどうなるか。
違和感が出ますよね。
人工関節系では「足が長くなった感じがする」
といった発言が多く聴かれます。
これは手術前の身体イメージが
脳に構築されているために起こるとされています。
手術後にアライメントが変化して、もう膝を治したから歩けるよ
と言われても、
脳は以前の身体を覚えていますので歩くことに違和感が生じます。
術後に急激に起きた変化に対してどう対応していくのが適切でしょうか?

上記の図のように末梢からの情報にエラーが生じれば
脳から送られる遠心性情報にエラーが生じます。
間違った情報を受け取れば、命令系統も狂ってきます。
しかし整形外科疾患を持つ患者さんのメリットは
「脳はしっかりしている」
ということです。(一部認知症の患者さんなどはのぞきますが)
脳がしっかりしているとは頭が悪いとかそういう問題ではなく、
脳での情報処理をしっかり行うことが可能であるいうことです。
脳卒中の患者さんであれば、脳に実質的な損傷があります。
脳に損傷がある場合に生じてくる問題は、
「脳での情報処理の過程でエラーが生じる」
ということです。
末梢から正しい情報が入ってきてもうまく出力が出来なかったり、
うまく動かそうとしても、運動するためのプログラムに変質が生じている
可能性があります。
こういった視点で整形外科疾患の患者さんを診ていくと
「末梢からの情報を正しく入力するために外界へ注意を向ける」
必要があります。
どういうことかというと、スポーツ選手などは身体感覚に優れている
とよく言われます。
それは身体の変化に対して敏感で、少し筋が張っていてもわかったり
身体が重いなどの感覚が研ぎ澄まされ、コンディショニングなど
調整する事が可能になっていると考えています。
整形外科術後の患者さんはどんな状態かというと、
アライメントが変化したり、筋肉を傷つけられたり、伸ばされたりと
身体感覚は破綻していることが考えられます。
そんな中で自分の身体に意識を向けるとどうなるでしょうか?
痛みに注意が向きやすくなります。
事実、筋肉や靱帯の変化が起きているので、
運動位置覚などにエラーが生じます。
その伸ばされた筋肉に意識を向けると
伸ばされているという感覚が入るだけです、
なので整形外科術後の患者さんに対しては、
身体の変化に意識を向けるのではなく、
外界の変化に意識を向けることをおすすめします。
外界の変化を変化した身体で正しく感じ取れる
これが必要です。
外界に指標となるものは、変化しないものを基準として
自分の身体が今実際にどうなっているかを認識させていくこと。
こんな訓練が理想的だと思います。
例えばACL損傷後に、スクワットをしたとき

「膝が内側に入らないようにしましょう」
このように伝えると、患者さんはどこを意識するでしょうか?
膝のみを意識しますよね。
そもそもACL損傷でKnee inしやすかった状態でその後手術に
よって、膝に変化が起こっている状態で身体に意識を向けると
どうなるでしょうか?
エラーが出てきそうですよね。
そういった際にどう声かけするのかというと

「このチューブを引っ張るようにして
膝が内側に入らないように」
こうやって外部に意識をさせた上でアライメントを修正していくことが
大切だと思います。
そういった際にどんな道具をつかって、どのように声かけするか
セラピストの腕が試されますね。
まとめ
日頃から整形外科手術後の患者さんを診療することが多いですが、
痛みは多種多様で、こちらも対応を一人一人変えていかなければ
いけないと感じます。
ただ手術後の痛みに一貫しているのは、
「きちんと痛みも取れて治る」ということ。
それをきちんと伝えるだけで運動療法がスムーズに進みます。
これは手術後の急性痛じゃないなというのは経験だけではなく、
日頃から痛みについて考えて診療していれば気づきます。
これはドクターに相談が必要だな、物理療法や服薬メインで、
運動療法はオプションでという方も中にはいます。
急性期では過剰に痛みに注意も向きやすいので、身体内部への注意は
気をつけなければいけません。
その声かけ、意図的に痛みに注意向けさせていませんか?
私たちが発する言葉には相手の行動や注意に大きく影響する
ということを知っておきましょう。
結局は思いやりです。
真摯に向き合うことで信頼関係は築けます。
信頼関係こそ、リハビリがうまくいく一番のポイントかなと思います。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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