こんばんは。まつたくです。
日頃臨床をしていて、ACLに伴う合併症があるのかで
術後の理学療法の進行度合いが異なってきます。
また手術方法によっても術後のプロトコルが違うため、
術後のリハビリテーションにかなり影響をきたします。
今回は、軟骨損傷についてまとめていきます。
臨床でやっていて感じるところを載せていきます。
詳しく文献等で知りたい方は、どうかお調べください!!

- 骨穿孔術(マイクロフラクチャー)
- 自家骨軟骨柱移植術(モザイクプラスティ)
- 自家培養軟骨移植術
💡手術方法も話します。
✅️軟骨損傷
骨穿孔術(マイクロフラクチャー)
これは比較的小さな軟骨損傷(2cm²)などに
使用されることが多いです。
傷ついた軟骨は血行に乏しく、再生能力も乏しいです。
アイスピックのような器具で軟骨下骨に傷をつけ、
血液と骨髄液を誘導します。
この手術は基本的に関節鏡を用いるため、ACLの手術に伴い、
傷口は数cmのみとなります。
なのでACL単独での手術後と大きく変わりません。
術後も固定期間はACL単独手術と同様なので、
術後の理学療法も比較的スムーズに進みます。
荷重制限や可動域制限もほとんど残らない印象で、
痛みも少ないです。
この手術は、ACL単独損傷と同様の
スポーツ復帰時期で復帰出来るため、早期復帰を目指せます。
自家骨軟骨柱移植術(モザイクプラスティ)
この手術は非荷重部の軟骨部から円柱状に軟骨を採取し、
傷ついている軟骨部に埋め込むという手術です。
損傷部が4cm²未満の場合に用いることが出来ます。
なぜかというと、
正常の軟骨部も採取しなければいけないからです。
なので大きな軟骨損傷には適応しません。
この手術はサイズによっては3−5cm程度の切開を伴います。
その場合、関節包を大きく切開し、逢着する必要があります。
術後この傷口が結構痛む場合が多いです。
術後の理学療法においても特に屈曲時の
可動域に手こずることが多いです。
膝を曲げる際に逢着した関節包が痛みを起こしやすいです。
なので可動域制限を改善するために時間を要します。
解決策としては、痛みのマネジメントをしっかりすること。
傷口の痛みに対して物理療法や、
認知の歪みを起こさないことです。
また、皮膚の瘢痕が起きる前に
しっかりと関節運動を出しておくことです。
この手術をすると、当院ではACL単独損傷より
1,2ヶ月はスポーツ復帰が遅れることが多いです。
筋力回復や、メディカルリハに時間がかかってしまうことが
原因かなと感じています。
自家培養軟骨移植術
これは近年注目されている再生医療です。
島根大学でもこの数年で手術件数が大幅に増えました。
この手術は損傷部位が4cm²以上でも適応となります。
ただこの手術のデメリットは2回手術をしないといけない
ということです。
手術自体は5ー10cmの傷口を作り、関節包を逢着します。
なので軟骨柱移植同様に術後可動域制限が出やすいです。
また術創部が大きいため、筋力低下も起こりやすいです。
手術自体は4週間培養した軟骨を損傷部に載せて、
現在ではコラーゲン膜をかぶせて縫っていきます。
前までは骨膜を採取していたので脛骨部にさらに傷を作って
骨膜を採取していました。
現在はコラーゲン膜を使用するので侵襲は減りますが、
しっかりとした軟骨になるまでに時間がかかります。
ただ骨膜を利用するより、骨化などのリスクは減ったそうです。
この手術ではスポーツ復帰までに1年から2年を要し、
時間がかなりかかります。
選手によって復帰時期にばらつきがあり、
医師の精密な診察を経て、早期復帰などを判断されます。
手術を2回するという点で筋力はかなり落ちます。
また当院では術後4週間の免荷期間があり、
この期間の患部外トレーニングによる筋力維持・強化が必要です。
手術後は免荷期間もあり、まずは可動域制限の改善を優先します。
その後は電気治療などを用いて筋力の維持や、
患部外トレーニングをしっかりとしていきます。
ジョギング開始が術後1年弱かかるため、スポーツ復帰までに
しっかりと運動療法行って行く必要があります。
また荷重時に損傷のリスクが高いため、
CKCでのトレーニングが選択しにくく、
筋力回復までにはかなり時間を要するといっても過言ではありません。
✅️まとめ
基本的に前十字靱帯損傷時に軟骨を損傷することは多くはありません。
培養移植術まで実施するような大きな軟骨損傷をするケースは、
まれであり、当院では壮年期の患者さんが多いです。
それは変形性膝関節症になる手前といっても良いかもしれません。
軟骨柱移植に関しては当院では多く見かけます。
軟骨損傷後は拘縮も起きやすく、注意が必要になります。
可動域や筋力だけでなく、運動覚や位置覚などにも
注意して訓練を進めていく必要があります。
手術方法で理学療法の対応は大きな変化はありませんが、
痛みの理解のためにも手術方法の理解は重要です。
基本的には先手を打って、予防的に介入していくことが大事です。
あのときやっておけば良かったでは済まされません。
まだ私も分からないことが多いので、もっと勉強します。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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