keyword:理学療法士 臨床実習 なぜやるのか
この記事の著者
理学療法士10年目
認定理学療法士【スポーツ理学療法・臨床教育】
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
普段は大学病院で勤務しながらスポーツ現場でもトレーナーとして働いてます。 高校生のサポートや、大会での救護活動を中心に、スポーツ現場に出ています。 臨床ではACL損傷後のリハビリテーションを中心におこなっております。
・臨床実習の指導者ってめんどくさいな。
・ボランティアだしする必要ないじゃん。
・残業増えるなー、どうしよう。
こんばんは、まつたくです。
理学療法士になるための一つの難関?と言ってもいい、「臨床実習」。
学生にしてみたら、学生生活の集大成でもあり、自分の力量を図る場であり、患者さんのことを目一杯考えることのできる時間です。
その学生を担当する指導者ですが、
「ほぼボランティアだし、なんでするの?」
「学生の指導って時間がかかるし残業が増えるな」
「正直、めんどくさいな」
こんなこと思ってるあなた!
もう一回深掘りして考えてみませんか?
この記事からわかること
- 実習は未来への投資
- 残業時間を増やさない!実習の進め方
- 認知的徒弟制を上手く使おう
✅なぜ臨床実習を受けいれ、指導するのか。
【結論】より多くの対象者により良い理学療法を提供するため
結論だけ書くと、そうか、自分の分身が増えるから単位が多く取れるな!
とそう思ったあなた、気をつけてください。
噂レベルですが、学生のみで関わってる時間も単位をとってる病院もあるそうです。
これははっきりいってアウトです。
「じゃあどういう意味でいってんの??」
これは学生を8週間指導することで、今後学生が理学療法士になったときにみる患者さんのことを言ってます。
私もそうですが、指導者の方から今でも大切にしているようなことを教わりました。
実習の時の指導者っていまでも師匠といいますか、すごい存在だなと思います。
いま指導する立場になって、そういった凄かった指導者の先生のようにならなければいけないなって思います。
学校のどんな授業より、実習に出てる8週間はとても印象に残ってますし、確実に成長できる時間です。
この強烈な8週間をどう過ごさせるか、それは指導者の先生にかかってます。
正直8週間じゃ足りないと思ってます。
もっともっと伝えたいことがある、あなたが理学療法士になったときに、即戦力として働けるくらいに、伝えておきたいことがある。
そう思ってるうちに実習は終わってしまいます。
ある意味自分の職場に就職した職員かってくらい色々教えるし、学生のふとした疑問にはっとさせられることも多々あります。
こう考えると指導者という立場ですが、我々も色々学生に教えられることが沢山あります。
そういう関係性を築きたいなって思いますね。
✅臨床実習指導って時間がかかってしまい残業が増える
【結論】今の制度では基本的に業務の負担になることは少ない
この度、臨床実習に関する指定規則が改定されました。
今までのように夜遅くまで病院に残して課題をさせるなんてことは出来なくなりました。
そもそもそんな遅くまで残らせることもおかしいですが。
ただ時間をかけて教えたいことや時間をかけないとわからないこともいっぱいあります。
今回の指定規則改定に伴い、臨床実習における時間がきっちりと決められました。
簡単に言うと
「1週間で40〜45時間で実習をしなければならない」
ということです。
週5日で勤務してると、おおよそ、実習時間は8〜9時間です。
我々の定時と一緒くらいですよね。
その間になるべく課題などをこなさなければいけません。
ここで言う課題は、指導者が課す課題や、学校から指定されてる課題です。
この時間も含めて40〜45時間です。
「そんなんじゃレポートできなくない?」
今まで指導者をしてた先生ならそう思うでしょう。
ただ、最近は課題にレポートが無くなったりしてます。
そういった意味でも時間内には収まると思います。
この時間にフィードバックも含めるので、結果、我々の残業が学生があるからと言ってめちゃくちゃ増えるわけではありません。
✅じゃあどうやって実習は進めていけば良いの?
【結論】認知的徒弟制を上手く利用する
徒弟制は昔の「師匠と弟子」のことを指します。
ただ最近の学習理論の中では「認知的」と付きます。
師匠と弟子の関係というと、師匠が黙って仕事をしてるところを、弟子は見て、技を盗み学んでいくみたいなイメージありますよね。
師匠は仕事のコツだとか、何を考えてるかを一切教えないみたいなことがあったと聞きます。
なので学生としては、
「答えが分からない」
「どう解釈して良いのか分からない」
など色々不安を抱えます。
今の理学療法士の実習振り返ってみてください。
指導者のみなさん、そんなことしてませんか?
「とりあえずやってみて」
「とりあえずみといて」
「見てたから出来るでしょ」
「何をみてきたんだ、なんだその足の持ち方は!」
なーんてことよくありますね。
そうではなく、
「見学」「共同参加」「監視」を通して段階的に学生へと指導していきます。
ただみておけではなく、例えば
まず手本を提示する事です。
指導者が実践し、見せる。これが重要です。
その中でなにを意識しているかなどを少しずつ教えていきます。
例えば
「これからROMをするからどんなふうに足を持ってるかみててね」
「どんな声かけして、どんな感じで力を入れてるのか見ておいてね」
と具体的に何を見学するのか伝えておきます。
そうすると学生は指導者の意図をくみ取ることが出来ますし、なぜそのように指導してくれたのかを考えることができます。
より考える課題について明確に提示されることで実習も進みやすいと思います。
ここで大事なのは、学生がどこまで理解できるか、もしくは理解できそうか、指導者は最近接領域を知ることが重要です。
最近接領域とは、
発達段階に応じたちょうどよい難易度の課題
の事です。
この「ちょうどよい」を知ることが指導者は必要です。
このちょうどよいを探すためにも、学生とコミュニケーションを取りながら、一緒に患者さんを診療することで、これは出来るし、これはまだまだ、こんなことに気がつくのか、などいろんな気づきが指導者にもうまれます。
実習を進めていく上でやり方も大事ですが、一番大事なのは、学生と指導者の「信頼関係」であると私は思っております。
✅️まとめ
臨床実習において、こういったことを考えていくと非常に重要になってくるのが
「指導者としての能力」
となります。
臨床実習において、学生に
「臨床能力を指導できるのか」
ここに限ります。
今までの方法であればレポートがその一つになっていたかと思いますが、よく考えていただいて、レポートで「臨床能力」がはかれますか?
レポートが悪いとは言いませんが、レポートは基本的に学生の考えを、我々指導者が修正する形になります。
「学生の考え」⇒「指導者が修正」
実はこれは指導者の能力が低くても可能です。
ある程度の知識と経験があれば、学生が考えることなんて簡単に修正できるからです。
そうではなく、臨床能力とは、我々指導者の考えを提示して、それを学生が理解していくという流れが正しいと思います。
「指導者の考え」⇒「学生がそれを理解する」
この指導者の考えは、臨床推論で有り、さらに学生を教育するという「教育能力」が問われます。
指導者になるために、この教育能力や、臨床能力を教えれる力を我々が身につけていかないといけませんね。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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